技能証明(ライセンス)の種類

 技能証明の種類と限定

航空機を操縦するための免許(通称:ライセンス)は、正式には「技能証明」といいます。

技能証明は、航空機の種類、等級、型式等により分類されており、各分類ごとに交付されるようになっています。

そのため、飛行機のライセンスを持っていても、別の航空機の種類であるヘリコプター(回転翼航空機)に乗務できるということはありません。


 

技能証明の種類

技能証明は、次の10種類に分けることが出来ます。

  • 航空機の操縦に関する技能証明
    • 定期運送用操縦士
    • 事業用操縦士
    • 自家用操縦士
    • 准定期運送用操縦士
  • 航空機の運航に必要な機器の技術操作に関する技能証明
    • 航空士(1等、2等)
    • 航空機関士
    • 航空通信士
  • 航空機の整備に関する技能証明
    • 航空整備士(1等、2等)
    • 航空運航整備士(1等、2等)
    • 航空工場整備士

 

航空機の種類(航空法第25条)

技能証明は、「航空機の種類」毎に発行されます。

このため、飛行機の技能証明を有していても、回転翼航空機の運航に従事することは出来ません。

「航空機の種類」は次の4つに分けることが出来ます。

  • 飛行機
  • 回転翼航空機
  • 滑空機
  • 飛行船

 

それぞれの航空機は、さらに「航空機の等級」による分類があります。

  • 陸上/水上
  • 単発/多発
  • ピストン/タービン ※回転翼航空機のみ

 

ほとんどの航空機は「航空機の種類」と「航空機の等級」で区分されますが、航空機のうち「操縦に二人を要する航空機等」においては、型式が指定されることがあります。(「型式限定」と言います。)

例1:B767とB787はそれぞれ型式限定を受けている機体ですので、B787を運航できる技能証明を有していても、B767の運航は出来ません。

例2:C172は型式限定を受けていませんので、B787を運航できる技能証明を有していれば、C172の運航はできます。

※ 「准定期運送用操縦士」は、下級の技能証明の業務範囲を包括していないため、上記には当てはまりません。

 


 

航空従事者の業務範囲(航空法第28条)

技能証明をもつ人のことを航空従事者といいます。航空従事者は資格ごとに行うことができる行為(業務範囲)が決められています。

自家用操縦士

  • 無償の運航を行う航空機の操縦を行うこと

 

自家用の航空機を使用して、移動や趣味として航空機を操縦することができます。友人や家族であっても輸送したことに対する対価を得ることはできません。(「無償の運航」と言います。)

事業用操縦士

  • 自家用操縦士が行うことができる行為
  • 旅客等の運送(航空運事業)や航空写真撮影等(航空機使用事業)を報酬を受けて行うこと。(「有償の運航」と言います。)
  • 機長として、旅客等の運送を行う航空機であって、構造上、一人の操縦者で操縦することができる航空機の操縦をすること。

 

旅客や貨物を運送することにより対価を得ることができます。旅客や貨物を輸送する事業を航空運送事業といい、写真撮影や農薬散布等を航空機を使用して行う事業を航空機使用事業と言います。遊覧飛行は航空運送事業になり、操縦教育は航空機使用事業になります。

定期運送用操縦士

  • 事業用操縦士が行うことができる行為
  • 路線を定めて定期に旅客等運送(航空運送事業)を行う航空機の機長として操縦を行うこと。
  • 機長として、旅客等の運送を行う航空機であって、構造上、操縦に二人を要する航空機の操縦をすること。

 

路線を定めて、とは日時と路線を定めることをいい、一般的には時刻表を有するような航空運送事業です。エアラインに代表される中大型旅客機は運航に二人の操縦士が必要になるため、機長になるために必要な資格となります。ただし、機長以外の操縦士として乗務する場合は事業用操縦士でも可能です。(型式限定は必要になります。)

准定期運送用操縦士

  • 機長以外の操縦者として、旅客等の運送を行う航空機であって、構造上、操縦に二人を要する航空機の操縦をすること。

 

最近新しく制定された技能証明です。操縦士の不足を補うために副操縦士として乗務することを前提とされた資格になります。事業用操縦士と異なる点は、「自家用操縦士」としての業務範囲がないこと。つまり准定期運送用操縦士はプライベートで乗ることはできません。また、一人で操縦することができる航空機であっても乗ることはできません。

 


 

技能証明の要件

操縦士になるためには、技能証明を取得しなければなりませんが、技能証明の取得には決められた飛行時間や経験を持っていなければなりません。これを「技能証明の要件」といいます。

自家用操縦士の場合、国家試験を受験出来るだけの技量をつけるための操縦訓練で充足することが出来ます。

事業用操縦士以上の場合は、訓練時間だけでは足りないことが多く、個人で飛行したり、会社に所属して仕事として飛行することにより、「技能証明の要件」を満たす飛行時間を確保しています。

「技能証明の要件」を満たした上で、技能証明の国家試験を受験し合格する必要があります。なお、国家試験は筆記試験と実技試験に分かれています。

 

自家用操縦士の取得に必要な要件

飛行機

  1. 年齢:17才以上
  2. 飛行時間:総飛行時間40時間以上で以下の時間を含む。
    • 10時間以上の単独飛行
    • 出発地点から270㎞以上の飛行で、中間において2回以上の生地着陸をするものを含む5時間以上の単独操縦による野外飛行
    • 夜間における離陸、着陸及び航法の実施を含む20時間以上の同乗教育飛行

 

回転翼航空機

  1. 年齢:17才以上
  2. 飛行時間:総飛行時間40時間以上で以下の時間を含む。
    • 10時間以上の単独飛行
    • 出発地点から180km以上の飛行で、中間において2回以上の生地着陸をするものを含む5時間以上の単独操縦による野外飛行
    • 夜間における離陸、着陸及び航法の実施を含む20時間以上の同乗教育飛行
    • オートロテイションによる着陸

 

事業用操縦士の取得に必要な要件

飛行機

  1. 年齢:18才以上
  2. 飛行時間:総飛行時間200時間以上で以下の時間を含む。
    • 100時間以上の機長としての飛行
    • 出発地点から540㎞以上の飛行で、中間において2回以上の生地着陸をするものを含む20時間以上の機長としての野外飛行
    • 機長としての5回以上の離陸及び着陸を含む5時間以上の夜間の飛行
    • 10時間以上の計器飛行

 

回転翼航空機

  1. 年齢:18才以上
  2. 飛行時間:総飛行時間150時間以上で以下の時間を含む。
    • 35時間以上の機長としての飛行
    • 出発地点から300km以上の飛行で、中間において2回以上の生地着陸をするものを含む10時間以上の機長としての野外飛行
    • 機長としての5回以上の離陸及び着陸を含む5時間以上の夜間の飛行
    • 10時間以上の計器飛行
    • オートロテイションによる着陸